こんな名前の細菌知っていますか?〜変わった名前の細菌たち〜

突然ですが、問題です!次の中で実在する細菌の名前はどれでしょう?
①セカオワ菌 ②エグザイル菌 ③カナブーン菌 ④モモクロ菌
さて正解は…
答えはこの記事の最後に明かすことにして、まずは、細菌の名前について説明したいと思います。

・国際ルール
例えば、人の健康に関係する細菌は?と聞かれると、大腸菌、コレラ菌、ピロリ菌…といった名前が頭に思い浮かんだ人もいるかもしれませんね。でも、これらは日本独自の和名(慣用名)で、世界的に通用するものではありません。なので、私達研究者はあまりこういった名前は使わず(でも、大腸菌は使うかな…)、一般的には属名と種名からなる“学名”を使います。例えば、上の例ならそれぞれエシェリキア・コリ、ビブリオ・コレラ、ヘリコバクター・ピロリとなります。では、こういった学名はどのようにして命名されているのでしょうか?

実は、細菌の名前は 「国際細菌命名規約」というルールに沿ってラテン語で命名されています。一般的には、その細菌の形態や性質、分離されたサンプル・地名などをもとにつけられます(実際にはその後、名前とともにその細菌の性状をまとめたものを国際学術雑誌に掲載してもらう必要があります)。つまり、名前を見れば、その細菌がどんなものか分かるというわけですね。先に書いた3つの細菌だと、エシェリキア・コリは「(ドイツ人医師の)エシェリヒさんが大腸から分離した菌」、ビブリオ・コレラは「水の中を動き回るコレラの原因菌」、ヘリコバクター・ピロリは「胃の幽門(十二指腸につながる部分)にいるらせん状の細菌」といった訳になります。

・1万5000種
2017年の段階で、学名がつけられている細菌の数は約15,000種ありますが、その中には変わった名前や面白い名前が結構あります。例えば、「火星探査船のオデッセイから分離した小さな桿菌」のバチルス・オデッセイや「スープ(ネクター)が大好きな鎖状の小さな桿菌」のカテリバクテリウム・ネクタリフィラム(現在はゲンモバクター・ネクタリフィラムに名称変更)といったものです。冒頭の問題の答えもこういった細菌の一つなんですね。
 


写真:カテリバクテリウム・ネクタリフィラムを2種類の寒天培地で培養した様子。普通の寒天培地(左)だとほとんど生育しないが、他の細菌のスープ(右)を入れると元気に生育する。

ということで、それではいよいよその答えの発表です。正解は、②のエグザイル菌でした。といってもこれは筆者が勝手につけた慣用名で、学名はカルディセリクム・エクシーレ(英語読みだとエグザイル)といいます。名前の意味は「熱いところ(温泉)にいる細くて絹のような細菌」ということで、とあるボーカルグループとは一切関係ありません(笑)。

 

(山梨日日新聞「知りたい好奇心」2018年3月27日掲載の記事を一部修正)

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