流域生態系における食物網の構造と動態

担当:岩田智也 准教授

空から地上を見渡すと、森・川・畑・都市などがモザイク状に組み合わさった景観が視野に飛び込みます。山地には森林が、平野部には農耕地や市街地が広がり、それらを貫くように川は景観を走り抜けて海に吸い込まれていきます。このように、川の流れによって様々な生態システムが結びついた陸上の空間ユニットを流域とよびます。
流域内では、川は有機物や栄養塩の輸送経路の役割を果たしています。流域内に入射した光エネルギーは植物の光合成によって有機物(化学エネルギー)へと変換され、その一部は川の流れによって海洋へ運ばれていきます。河川空間を流れるこのような物質は、生物による取り込みと排泄を繰り返しながら流下することで、下流域の河川、湖沼、陸上、そして海洋の食物網を駆動する重要な栄養源となっています。このことから、川は流域生態系の動脈ととらえることができます。
しかしながら、人間活動の増大は流域の動脈を大きく改変してきました。大規模な土地開発や河川改修による流路の単調化、ダム・河川構造物の設置は、有機物や栄養塩類の輸送動態を大きく変化させています。当研究室では、このような流域における人為環境改変が陸上−河川−海洋複合システムにおける食物網と生物多様性に及ぼす波及効果を、野外調査により明らかにすることを目指しています。

 

この研究と関連する授業科目:生態学多様性生物論環境調査実習(各授業科目をクリックするとシラバスを見ることができます)

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